(7)地域の特性に応じたサービスの確保


◆改定事項

①離島や中山間地域等におけるサービスの充実

②地域の特性に応じた認知症グループホームの確保

③過疎地域等におけるサービス提供の確保

④地域の特性に応じた小規模多機能型居宅介護の確保

⑤特例居宅介護サービス費による地域の実情に応じたサービス提供の確保

 

 

①離島や中山間地域等におけるサービスの充実


◆目的

離島や中山間地域等の要介護者への介護サービスの提供を促進

する為に移動にかかるコストを適切に評価する。

 

◆見直し内容

下記の加算項目を新設

特別地域加算、小規模事業所加算、サービス適用加算

 

●特別地域加算

〇対象サービス

夜間対応型訪問介護

小規模多機能型居宅介護

看護小規模多機能型居宅介護

介護予防小規模多機能型居宅介護

*他の訪問系サービスは上記の加算が既にあります。

 

〇単位数

所定単位数に15/100を乗じた単位数

 

〇算定要件等

厚生労働省が定める地域に所在する事業所がサービスを実施した場合。

 

*厚生労働省が定める地域

①離島振興対策実施地域

②奄美群島

③振興山村

④小笠原諸島

⑤沖縄の離島

⑥豪雪地帯、特別豪雪地帯、辺地、過疎地域等であって人口密度

希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難な地域

 

●小規模事業所加算

〇対象サービス

夜間対応型訪問介護

小規模多機能型居宅介護

看護小規模多機能型居宅介護

介護予防小規模多機能型居宅介護

*他の訪問系サービスは上記の加算が既にあります。

 

〇単位数

所定単位数に10/100を乗じた単位数

 

〇算定要件等

厚生労働省が定める地域に所在する事業所がサービスを実施した場合。

 

*厚生労働省が定める地域

①豪雪地帯及び特別豪雪地帯

②辺地

③半島振興対策実施地域

④特定農山村

⑤過疎地域

 

●サービス適用加算

〇対象サービス

夜間対応型訪問介護

認知症対応型通所介護

介護予防認知症対応型通所介護

*他の訪問系サービス、通所系サービスは上記の加算が既にあります。

 

〇単位数

所定単位数に5/100を乗じた単位数

 

〇算定要件等

厚生労働大臣が定める地域に居住する利用者に対し、通常の

事業の実施地域を越えてサービス提供を行った場合。

 

*厚生労働省が定める地域

①離島振興対策実施地域

②奄美群島

③豪雪地帯及び特別豪雪地帯

④辺地

⑤振興山村

⑥小笠原諸島

⑦半島振興対策実施地域

⑧特定農山村地域、

⑨過疎地域

⑩沖縄の離島

訪問系サービス

訪問介護

訪問入浴介護

訪問看護

訪問リハビリテーション

居宅療養管理指導

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

夜間対応型訪問介護 

介護支援

福祉用具

 

通所系サービス

通所介護

地域密着型通所介護

療養通所介護

通所リハビリテーション

認知症対応型通所介護

 

所定単位数とは?

基本的なサービス費の単位数に加算項目の単位数を合計した数

例えば、夜間対応型訪問介護の場合は夜間対応型訪問介護費に

認知症専門ケア加算とサービス提供体制強化加算を合計した数

が所定単位数になります。

*合計する加算項目には介護職員処遇関連の加算は入りません。

詳細は下記をご参照下さい。

介護報酬の算定構造 介護サービス第199回(R3.1.18)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000728262.pdf

 

厚生労働省が定める地域

下記をご参照下さい

厚生労働省告示第七十四号

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000753782.pdf

 

介護保険最新情報 Vol.980 令和3年5月20日

離島その他の地域の基準第六号の規定に基づき厚生労働大臣が定める地域及び~

https://www.mhlw.go.jp/content/000782449.pdf

②地域の特性に応じた認知症グループホームの確保


◆目的

地域の特性に応じたサービスの整備・提供を促進する為。

 

◆対象サービス

認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)

介護予防認知症対応型共同生活介護

 

◆見直し内容

●ユニット数の弾力化

共同生活住居(ユニット)の数を1以上3以下とする

経営の安定化の為に条件なしで3以下になりました。

*改定前は1又は2で、条件付きで3でした。

*1ユニット数の入居定員は5人以上9人以下です。

  

●サテライト型事業所の創設

複数事業所で人材を有効活用し、地域でのサービス提供を

可能にする為に、認知症グループホームのサービスを提供

する事業所がサテライト型事業所を開設することが出来るようになりました。

サテライト型事業所を開設するにあたり、新しい基準が創設されました。

 

以下の基準を創設。

〇本体事業所との兼務などにより、代表者、管理者を配置しない

本体事業所の代表者がサテライト型事業所の代表となります。

本体事業所の管理者がサテライト型事業所の管理者を兼務することが可能です。

*本体事業所とはサテライト型事業所の本体となる事業所になります。

 

既に認知症グループホームのサービスを提供している事業所が

本体事業所になります。

本体事業所がサテライト型事業所を開設するには、いくつかの

要件等を満たした場合にになります。

 

〇計画作成担当者として認知症介護実践者研修を修了した者を配置

介護支援専門員ではない認知症介護実践者研修を修了者を、

計画作成担当者として配置することができます。

*本体事業所の場合は介護支援専門員で認知症介護実践者研修を

修了した人になります。

 

認知症グループホームの定員数

認知症グループホームは地域密着型サービスで、定員数は29人以下です。

 

サテライト型事業とは?

本体事業とは別にサービスを提供する事業。

介護の分野では本体事業所と密接に連携して地域のニーズに

より合った介護サービスが提供出来るようになります。

 

認知症グループホームのサテライト型事業所の要件等

本体事業所(認知症グループホーム)の事業開始後1年以上の

実績があるか又は、入居者の人数が定員の70/100を超えたことがある事。

本体事業所との距離が自動車等による移動時間が約20分以内。

本体事業所と同一建物内や同一敷地内は不可。

指定は本体事業所とサテライト型事業所のそれぞれが受ける。

本体事業所のユニット数を超えず、かつ、本体事業所のとの合計が4迄。

介護報酬は通常の認知症対応型共同生活介護(介護予防も含む)と同じ。

 

詳細は下記をご参照下さい

*厚生労働省サイト内

令和3年度介護報酬改定における改定事項について

p60~pp61

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000750362.pdf

③過疎地域等におけるサービス提供の確保


◆対象サービス 

小規模多機能型居宅介護

介護予防小規模多機能型居宅介護

看護小規模多機能型居宅介護

 

◆見直し内容

●条件付きで登録定員及び利用定員を超えてサービス提供が可能

基本的には改定前と同様に登録定員及び利用定員を超えて

サービス提供はできませんが、下記の但し書きが追加された

ことにより可能になります。

 

*ただし書き

「過疎地域その他これに類する地域において、地域の実情に

より効率的運営に必要であると市町村が認めた場合は一定の

期間に限り、登録定員及び利用定員を超えてサービス提供ができる。」

*下記より抜粋

令和3年度介護報酬改定における改定事項について 第199回 p62 

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000750362.pdf

 

●登録定員を超えた場合の報酬減算を一定期間、行わない

上記のただし書きにより、介護報酬は一定期間減算されなくなりました。

改定前は登録定員を超えた場合、翌月から定員超過が解消される

月まで利用者全員30%/月を減算されていました。

 

●算定要件等

〇人員・設備基準を満たすこと

〇一定期間とは、市町村が登録定員の超過を認めた時から介護

保険事業計画終了までの最大3年間を基本とする。

*次の介護保険事業計画期間の終期まで市町村の裁量等で延長が可能

 

 

 

④地域の特性に応じた小規模多機能型居宅介護の確保


 

◆対象サービス

小規模多機能型居宅介護

介護予防小規模多機能型居宅介護

 

◆見直し内容

●登録定員及び利用定員の基準を「標準とすべき基準」にする

厚生労働省令で定める登録定員及び利用定員の基準の考え方が

見直されました。

国から地方へ条例委任する時の基準が「従うべき基準」から

「標準とすべき基準」になりました。

改定前は「従うべき基準」で、全国一律で必ず適合しなければ

ならない基準でした。

改定後は「標準とすべき基準」になり、地方自治体に合理的

な理由があれば標準とすべき基準と異なる内容を定めることが

可能になりました。

合理的な理由がない場合は違法になります。

 

条例委任する場合の基準設定の類型

条例委任する場合の基準には、参酌すべき基準、標準基準

従うべき基準があります。

参酌すべき基準は、十分参照しなければならない基準になります。

法令の「参酌すべき基準」を十分参照した上での判断が必要になります。

十分参照した結果であれば、地域の実情に応じた内容を定める

ことが可能で、法令の基準と異なる内容でも許容されます。

基本的には地方自治体の判断で設定可能。

参酌する行為がなかった場合は違法。

「参考とすべき基準」「斟酌すべき基準」「勘案すべき基準」

「考慮すべき基準」も同じ。

 

標準基準は「通常よるべき基準」になります。

法令の「標準」を標準とする範囲内になりますが、合理的な

理由があれば地域の実情に応じた異なる内容を定めることも

可能になります。

合理的な理由がない場合は違法。

「準則」も同じ。

 

従うべき基準は法令の「従うべき基準」に必ず適合しなければ

ならい基準になります。

条例の内容は全国一律になります。

基準の範囲内であれば、地域の実情に応じた内容を定めることが可能。

基準の範囲を超える場合は違法

「定めるべき基準」「遵守すべき基準」「適合すべき基準」

「よるべき基準」も同じ。

 

詳細は下記をご参照下さい

審議報告案にかかる参考資料 p78

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000703105.pdf

⑤特例居宅介護サービス費による地域の実情に応じたサービス提供の確保


◆目的

中山間地域等において、地域に沿った柔軟なサービス提供を

よりできるようにする為。

 

 

◆対象サービス

訪問介護

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

夜間対応型訪問介護

訪問入浴介護

訪問看護

訪問リハビリテーション

居宅療養管理指導

通所介護

地域密着型通所介護

療養通所介護

認知症対応型通所介護

通所リハビリテーション

短期入所生活介護

短期入所療養介護

小規模多機能型居宅介護

看護小規模多機能型居宅介護

特定施設入居者生活介護

地域密着型特定施設入居者生活介護

認知症対応型共同生活介護

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

福祉用具貸与

居宅介護支援

 

介護予防訪問入浴介護

介護予防訪問看護

介護予防訪問リハビリテーション

介護予防居宅療養管理指導

介護予防認知症対応型通所介護

介護予防通所リハビリテーション

介護予防短期入所生活介護

介護予防短期入所療養介護

介護予防小規模多機能型居宅介護

介護予防特定施設入居者生活介護

介護予防認知症対応型共同生活介護

介護予防福祉用具貸与

介護予防支援

 

 

◆見直し内容 

●中山間地域等における対象地域についての指定

特例居宅介護サービス費又は特例居宅支援サービス費の対象

地域と特別地域加算対象の地域について、自治体からの申請を

踏まえ、それぞれについて分けて指定を行う。

 

●サービス確保が困難な離島等の特例

指定居宅サービス及び基準該当居宅サービス確保が著しく困難

な離島等の地域で市町村が認めた場合に上記のサービス以外

(指定や基準該当でない)の居宅サービス・介護予防サービス

に相当するサービスを保険給付の対象とすることができる様に

なりました。

 

*対象地域

①離島振興対策実施地域 

②奄美群島 ③振興山村 

④小笠原諸島 

⑤沖縄の離島 

⑥豪雪地帯、特別豪雪地帯、辺地、過疎地域等であって人口密度が

希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難な地域

 

●中間地域等に対する報酬の加算

中間地域等に所在する事業所がサービスを提供した場合や中間

地域等に居住している利用者に対して通常の事業の実施地域を

超えて、サービスを提供した場合に算定されます。

*通常の指定居宅介護サービスと同様の加算になります。

 

〇加算内容

<特別地域加算>

単位数

所定単位数に15/100を乗じた単位数

 

算定要件等

厚生労働省が定める地域に所在する事業所がサービスを実施した場合。

 

*厚生労働省が定める地域

①離島振興対策実施地域

②奄美群島

③振興山村

④小笠原諸島

⑤沖縄の離島

⑥豪雪地帯、特別豪雪地帯、辺地、過疎地域等であって人口密度

が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難な地域

 

<小規模事業所加算>

単位数

所定単位数に10/100を乗じた単位数

 

算定要件等

厚生労働省が定める地域に所在する事業所がサービスを実施した場合。

 

*厚生労働省が定める地域

①豪雪地帯及び特別豪雪地帯

②辺地

③半島振興対策実施地域

④特定農山村

⑤過疎地域

 

 

<サービス適用加算>

単位数

所定単位数に5/100を乗じた単位数

 

算定要件等

厚生労働大臣が定める地域に居住する利用者に対し通常の事業

の実施地域を越えてサービス提供を行った場合。

 

*厚生労働省が定める地域

①離島振興対策実施地域

②奄美群島

③豪雪地帯及び特別豪雪地帯

④辺地

⑤振興山村

⑥小笠原諸島

⑦半島振興対策実施地域

⑧特定農山村地域、

⑨過疎地域

⑩沖縄の離島

 

特例居宅介護サービス費及び特例居宅支援サービス費とは?

要介護又は要支援認定の効力が生じる前に緊急その他のやむを

得ない理由により指定居宅サービスを受けた場合に、市町村が

必要があると認めた場合に支給される介護サービス費になります。

又、指定居宅サービス以外の居宅サービスや基準該当居宅

サービスを受けた場合にも市町村が認めた場合に支給されます。

今回の見直しでは指定居宅サービス及び基準該当居宅サービス

確保が著しく困難な離島等の地域で市町村が認めた場合に指定

居宅サービス及び基準該当居宅サービス以外の居宅サービス又

はこれに相当するサービスを受けた場合にも支給されるように

なりました。

基準該当居宅サービスは都道府県が条例で定めた基準で提供

されるサービスになります。

詳細は下記をご参照ください。

★介護保険法

特例居宅介護サービス費の支給 第42条

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=409AC0000000123

 

 

訪問系・多機能系・通所系サービス(要介護1~5)

◎訪問系サービス

訪問介護

訪問入浴介護

訪問看護

訪問リハビリテーション

居宅療養管理指導

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

夜間対応型訪問介護 

 

◎多機能系サービス

小規模多機能型居宅介護

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)

 

◎通所系サービス

通所介護

地域密着型通所介護

療養通所介護

通所リハビリテーション

認知症対応型通所介護

 

訪問系・多機能系・通所系サービス(介護予防)

*ここでは「介護予防」は省略して記載しています。

◎訪問系サービス

訪問看護

訪問入浴介護

訪問リハビリテーション

居宅療養管理指導

 

◎多機能系サービス

小規模多機能型居宅介護

 

◎通所系サービス

通所リハビリテーション

認知症対応型通所介護

 

居宅サービス

*印は地域密着型サービスにも含まれます。

訪問介護

訪問入浴介護

訪問看護

訪問リハビリテーション

居宅療養管理指導

通所介護

地域密着型通所介護 *

療養通所介護 *

通所リハビリテーション

認知症対応型通所介護 *

短期入所生活介護

短期入所療養介護

福祉用具貸与



◇参考・引用文献

 

*厚生労働省サイト内

 

令和3年度介護報酬改定の主な事項について 第199回(R3.1.18) 

p19-p20

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000727135.pdf

 

令和3年度介護報酬改定における改定事項について 第199回(R3.1.18) 

p57~p64

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000750362.pdf

p57-p64

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000768899.pdf

 

令和3年度介護報酬改定に関する審議報告第 199 回(R3.1.18)

p22~p24

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000721066.pdf

 

審議報告案にかかる参考資料(令和2年12月9日)第196回(R2.12.9) 

p69-p78

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000703105.pdf

 

令和3年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000721324.pdf

 

*介護報酬の算定構造 介護サービス第199回(R3.1.18)

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000728262.pdf

 

介護保険最新情報 Vol.980 令和3年5月20日

離島その他の地域の基準第六号の規定に基づき厚生労働大臣が定める地域及び~

https://www.mhlw.go.jp/content/000782449.pdf

 

厚生労働省が定める地域

厚生労働省告示第七十四号

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000753782.pdf

 

厚生労働大臣が定める中山間地域等の地域

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82ab0502&dataType=0&pageNo=1

 

厚生労働大臣が定める地域

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82ab2675&dataType=0&pageNo=1

 

介護保険最新情報Vol.1004 令和3年8月19日

p2

https://www.mhlw.go.jp/content/000820502.pdf

 

★介護保険法

特例居宅介護サービス費の支給 第42条

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=409AC0000000123

 

特例居宅介護サービス費等の支給要綱

https://www.city.saijo.ehime.jp/reiki_int/reiki_honbun/r039RG00000649.html#l000000000

 

基準該当サービスに係る特例居宅介護サービス等の上限額について

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4377&dataType=1&pageNo=1

 

厚生労働大臣が定める特例居宅介護サービス費等の支給に係る離島

その他の地域の基準第六号の規定に基づき厚生労働大臣が定める地域

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82aa0309&dataType=0&pageNo=1


掲載日2021年9月27日