(6)ケアマネジメントの質の向上と公正中立性の確保


◆改定事項

①特定事業所加算の見直し

②事務の効率化による逓減制の緩和

③医療機関との情報連携強化

④看取り期におけるサービス利用前の相談・調整等に係る評価

⑤介護予防支援の充実

 

 

①特定事業所加算の見直し


◆目的

経営の安定化と質の高いケアマネジメントの一層の推進、

公正中立性の確保などを図る為。

 

◆対象サービス

居宅介護支援

 

◆見直し内容

単位数の見直し

特定事業所加算(Ⅰ)500単位/月 → 505単位/月

特定事業所加算(Ⅱ)400単位/月 → 407単位/月

特定事業所加算(Ⅲ)300単位/月 → 309単位/月

  

特定事業所加算(Ⅳ)の見直し

上記の加算(Ⅰ)から(Ⅲ)までとは異なり、病院との連携や

看取りへの対応を要件としている為、特定事業所加算から

切り離され「特定事業所医療介護連携加算」に変更になりました。

単位数は同じで125単位/月です。

 

●特定事業所加算の新設

事業所間の連携により、体制確保や対応などを行う事業所を

評価する為に下記の加算が創設されました。

特定事業所加算(A)100単位/月

 

●特定事業所加算(A)の算定要件

〇介護支援専門員の配置

常勤1名以上

非常勤1名以上

*非常勤は他事業所との兼務可

 

〇他の事業所との連携による対応が可能な要件項目

連絡体制・相談体制確保、研修実施、実務研修への協力、

事例検討会等の実施。

 

●加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Aの新たな算定要件

〇居宅サービス計画の内容

必要に応じて多様な主体などが提供する生活支援のサービスが

包括的に提供されるような居宅サービス計画を作成していること。

 

〇居宅介護支援費(Ⅱ)を算定している場合は45名未満

一定の条件を満たせば介護支援専門員1人当たりの取扱件数が

45件以上から居宅介護支援費(Ⅱ)が適用される様になった

為、算定要件に45未満が追加されました。

居宅介護支援費の逓減の適用が一定の条件を満たせば40件目

から45件目に変更になりました。

改定前は居宅介護支援費(Ⅰ)の適用は40未満のみでしたが

改定後では一定の条件を満たせば44件目迄Ⅰが適用され、

45件目からはⅡが適用されます。

*詳細は次の項目(下記)を参照してください。

 

 

②事務の効率化による逓減制の緩和


◆目的

適切なケアマネジメントの実施を確保しつつ、経営の安定化を図る為。

 

◆対象サービス

居宅介護支援

 

◆見直し内容

ICT活用又は事務職員の配置を行っている場合の適用件数と単位数を見直す。

●適用件数の見直し

〇逓減制の適用を40件以上から45件以上とする

*一定の条件を満たした場合に適用されます。

 

〇一定の条件

ICT等の活用又は事務職員を配置した場合。

 

●単位数の見直し

〇例:要介護3・4・5の場合

改定後の単位数

*45件以上が適用される場合の単位数

居宅介護支援費Ⅰ 1,398単位

居宅介護支援費Ⅱ 677単位

居宅介護支援費Ⅲ 406単位

 

*適用されない場合の単位数

居宅介護支援費Ⅰ 1,398単位

居宅介護支援費Ⅱ 698単位

居宅介護支援費Ⅲ 418単位

 

改定前の単位数

居宅介護支援費Ⅰ 1,373単位

居宅介護支援費Ⅱ 686単位

居宅介護支援費Ⅲ 411単位

 

居宅介護支援費の逓減制について

介護支援専門員1人当たりの取扱件数が多くなれば評価が低くなる制度。

居宅介護支援費は介護支援専門員1人当たり取扱件数利用者の

人数により3つに区分されています。

40件未満⇒居宅介護支援費Ⅰ

40件以上60件未満⇒居宅介護支援費Ⅱ

60件以上⇒居宅介護支援費Ⅲ

 

今回の見直しでは一定の条件を満たした場合は居宅介護支援費Ⅱ

適用が45件目からになり、単位数も変更になりました。

条件を満たさない場合は、件数は改定前と変わりませんが単位数

見直されています。

 

居宅介護支援費Ⅰは 1,398単位ですので、条件を満たせば44件

まではⅠが適用されます。

条件を満たさない場合は40件目から居宅介護支援費Ⅱが適用され

698単位に減ります。

 

ICT等の活用による効果

デジタル機器やソフトウェア、AI等を利用して情報をやりとり

する技術を介護の分野で活用することで、業務の効率化や

サービスの質の向上、利用者の満足度の向上などを目指しています。

スマホやタブレット端末などを利用することで、その場で情報

の入力や閲覧などが出来ると業務の効率化につながります。

 

ICTとは?

Information and Communication Technology の略

情報通信技術

 

事務職員を配置することによる効果

事務職員を配置することで介護支援専門員の業務の負担が軽減

され、質の向上にもつながります。

 

③医療機関との情報連携強化


◆目的

適切なケアマネジメントの実施やケアマネジメントの質の向上を進める為。

 

◆対象サービス

居宅介護支援

 

◆見直し内容

●算定要件等を満たした場合に評価する新たな加算を創設

通院時情報連携加算 50単位/月(新設)

 

○算定要件等

・利用者が医師の診察を受ける時に同席

・利用者の心身の状況や生活環境など必要な情報を医師等に提供する

・医師等から利用者に関する必要な情報提供を受け取る

・上記を居宅サービス計画(ケアプラン)に記録する

・利用者1人につき、ひと月に1回の算定を限度とする

 

 

④看取り期におけるサービス利用前の相談・調整等に係る評価


◆目的

看取り期における適切なサービス提供や医療と介護の連携を推進する為。

 

◆対象サービス

居宅介護支援

 

◆見直し内容

●サービス利用の実績がない場合でも居宅介護支援費算定を可能とする

利用者の死亡により、サービスが利用されなかった場合は下記

の算定要件を満たした場合に居宅介護支援の基本報酬の算定が

可能になりました。

*見直し前はサービス利用の実績がない場合は請求不可でした。

 

〇算定要件等

・モニタリングやサービス担当者会議における検討など必要な

ケアマネジメント業務の実施

・給付管理票の作成など請求に必要な書類の整備

・算定した主な内容を適切に説明出来るように、ケアプラン等に記録する

・記録した書類等を事業所で管理する

 

 

⑤介護予防支援の充実


◆目的

介護予防支援事業所が居宅介護支援事業者に外部委託を行いやすくする為。

 

*地域包括支援センター(介護予防支援事業所)の介護予防ケア

ネジメント業務の負担が大きい為、外部(居宅介護支援事業者)

への委託を行いやすい環境整備を進めることが重要。

 

 

◆対象サービス

介護予防支援

 

 

◆見直し内容

居宅介護支援事業者との適切な情報連携等を評価する新たな加算を創設。

*介護予防支援事業所が個々のケアプランを委託する時の評価になります。

 

●委託連携加算 300単位/月(新設)

 

●算定要件等

・利用者1人につき指定居宅介護支援事業所に委託する初回に限る

・地域包括支援センター(介護予防支援事業所)と居宅介護支援

事業所は随時情報連携を行う

 

地域包括支援センター(介護予防支援事業所)が居宅介護支援

事業所に委託し、居宅介護支援事業所がケアプランを作成します。

ケアプランを作成した居宅介護支援事業所は介護予防支援事業所に

費用を請求します。

介護予防支援事業所は介護予防サービス計画費や委託連携加算等を

勘案した委託費を設定し、居宅介護支援事業所に支払います。

 

 

居宅介護支援について

要介護者(要介護1~5の人)を対象とするサービスです。

指定を受けた居宅介護支援事業者のケアマネジャー(介護支援

専門員)が担当します。

居宅介護支援(ケアマネジメント)は利用者が質の高い生活が

送れるように、介護の相談やケアプラン作成、サービスを提供

する側との仲介などの自立支援サービスです。

 

居宅介護支援の定義は「居宅の要介護者が居宅サービスなどを

適切に利用できるよう、心身の状況、おかれている環境、

要介護者の希望等を勘案し、居宅サービス計画を作成すると

ともにサービス事業者等との連絡調整を行い、介護保険施設等

への入所を要する場合は、当該施設等への紹介を行うことをいう。」となっています。

*下記より抜粋

居宅介護支援・介護予防支援 p1

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000660334.pdf

 

 

介護予防支援について

要支援者(要支援1、2の人)を対象とするサービスです。

保健師、介護支援専門員、社会福祉士、経験ある看護師等が担当します。

 

介護予防支援の定義は「要支援者が介護予防サービス等を適切

に利用できるよう、心身の状況、おかれている環境、

要支援者の希望等を勘案し、介護予防サービス計画を作成する

とともにサービス事業者等との連絡調整を行うことをいう。」となっています。

*下記より抜粋

居宅介護支援・介護予防支援 p1

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000660334.pdf

 

続きはこちらです→ (7)地域の特性に応じたサービスの確保

 



◇参考・引用文献

*厚生労働省サイト内

令和3年度介護報酬改定の主な事項について 第199回(R3.1.18) 

p17 p18

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000727135.pdf

 

令和3年度介護報酬改定における改定事項について 第199回(R3.1.18) 

p49~p56

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000750362.pdf

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000768899.pdf

 

令和3年度介護報酬改定に関する審議報告第 199 回(R3.1.18)

p20~p22

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000721066.pdf

 

審議報告案にかかる参考資料(令和2年12月9日)第196回(R2.12.9) 

p61-p68

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000703105.pdf

 

介護現場におけるICTの利用促進

https://www.mhlw.go.jp/stf/kaigo-ict.html

 

居宅サービス事業所におけるICT 機器・ソフトウェア導入に関する手引き

https://www.mhlw.go.jp/content/12305000/000535305.pdf

 

科学的介護

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198094_00037.html

 

介護予防支援関係【1 委託について】

https://www.mhlw.go.jp/topics/2007/03/dl/tp0313-1c-01_02.pdf

 

居宅介護支援・介護予防支援 p4

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000660334.pdf

 

指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係

る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準

https://www.mhlw.go.jp/topics/2007/03/dl/tp0313-1b-01.pdf

 

令和3年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案 p89-p92

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000721324.pdf

 


掲載日2021年9月1日