気管切開に伴う合併症


気管切開に伴う合併症には様々なものがあります。

気管切開の術中や気管切開後の

早期、晩期にそれぞれ起こりやすい合併症があります。

介護職員等の場合は比較的安定

した晩期にケアすることが殆どだと思います。

ここでは気管切開の晩期に起こり

やすい主な合併症をまとめてみました。

 

◆気管切開後晩期の主な合併症など

●気道粘膜の損傷、出血

咳や体動などで気管カニューレ

がずれたりした場合はカニュー

レの先端が気管壁に接触する危険があります。

接触している期間が長いと血管

が傷ついて出血する可能性があります。

特に気管内吸引の時には注意が必要です。

吸引時は必ず出血の有無を確かめます。

又、気管カニューレの先にある

カフが硬い(空気の入れすぎ)

粘膜を損傷するリスクが高くなります。

圧迫が長期間続いた場合は、

気管壁が壊死を起こす危険もあります。

気管食道瘻や気管腕頭動脈瘻を

形成するリスクが高くなります。

 

気管切開の晩期で最も重篤な合併

症は気管腕頭動脈瘻と言われています。

腕頭動脈が気管の前を斜めに走行しているためです。

 

●気管狭窄・閉塞

乾燥した分泌物や出血、肉芽

不適切なカニューレの固定などが原因。

 

●事故抜去(自然抜去、自己抜去)

固定が不十分だったり、カフが

柔らかすぎると抜けたり、ずれ

たりする危険があります。

カニューレが抜けると気道閉鎖

気道狭窄などで呼吸困難を引き

起こすリスクが高くなります。

位置がずれるとカニューレの

先端が気管壁を傷つけるおそれがあります。

特に体位交換などの時はリスクが高くなります。

 

●その他

肉芽の形成(気管内、気管切開孔)

気管腕頭動脈瘻、気管食道瘻、

気管カニューレの抜去困難

気管切開口の閉鎖困難、

切開口の拡大、誤嚥など。

特に重篤な合併症には気管腕頭

動脈瘻と気管食道瘻があります。 

 

気管切開後の晩期とは?

目安は気管切開後、1週間後。

 

気管切開中及び気管切開後早期の主な合併症など

創部の出血、気管内への出血、

低酸素血症、頸部皮下気腫、

気胸、縦隔気腫、気管食道瘻

動脈損傷、反回神経損傷、

食道損傷、気管粘膜の損傷

創部からの感染、肺炎、

自然抜去、閉塞など。

 

反回神経損傷

反回神経が損傷すると発声困難

嗄声、誤嚥、呼吸困難などの症状がでます。

 

気管食道瘻

気管に穴が開いて食道まで貫通

し、瘻孔が形成された状態。

併発すると肺炎、呼吸困難などを伴う。

気管内吸引時に血液や胃の内容

物、食物残渣等いつもと異なる

物が吸引されていないか観察が必要。

 

気管腕頭動脈瘻

気管食道瘻と同様に瘻孔が形成された状態。

併発すると失血死の確率が高い。

腕頭動脈が気管の前を斜めに

走行しているため、カニューレ

先端の接触やカフによる圧迫等

で気管壁が損傷した場合に併発しやすい。

下位気管部の切開で起こり易い

症状が急激に悪化する場合も多

いため、急変時の場合は吸引時

の血液混入の有無を確認する。

続きはこちらです→ 気管カニューレについて

 


気管切開時の在宅介護 項目一覧

気管切開に関する解剖生理

呼吸とは酸素と二酸化炭素の出し入れのことです。

呼吸には、肺(肺胞)で行われる外呼吸(肺呼吸)と組織細胞

で行われる内呼吸(組織呼吸)があります。

続きは こちら です。

 

気管切開について

気管切開とは気道を確保する為に必要な処置の一つです。

気管に穴を開け(気管切開)て気道を開く方法です。

続きは こちら です。

 

気管切開のメリットとデメリット

気管切開のメリット

気管内の分泌物を容易にとり除くことが出来る、自力で痰の

喀出が困難又は出来ない時にはすぐに痰を吸引して取り除く

ことが出来ます。

続きは こちら です。

 

気管切開に伴う合併症

気管切開に伴う合併症には様々なものがあります。

気管切開の術中や気管切開後の早期、晩期にそれぞれ起こり

やすい合併症があります。

続きは こちら です。

 

気管カニューレについて

気管カニューレとは?

気管カニューレは気管切開時に切開孔から挿入される管です。

続きは こちら です。

 

気管カニューレの選択

種類の選択

一般的なカフありの気管カニューレは痰が多い、嚥下困難

誤嚥、人工呼吸器装着などの場合。

続きは こちら です。

 

具体的なケア

人工呼吸器が装着されていない場合の注意点等、出血の有無

気管カニューレの事故抜去の防止、感染防止、気道の乾燥防止

意思疎通の確認、

詳細は こちら です。

 

観察のポイント

全身状態の観察のポイント、他覚的症状の観察、自覚症状の

観察、気管カニューレに関する観察ポイント

詳細は こちら です。

 



◇参考文献 

書籍

「続まんがで見る手術と処置」p38

「最新基本手技AtoZ」p63

「気管吸引のガイドライン完全準拠 わかる!できる!気管吸引あんしん教育ガイド 」p46 p47 メディカ出版

「呼吸サポートチームのための呼吸管理 セーフティーBOOK」  p118 メディカ出版

 

インターネット

ウィキーペディアHP内

ja.wikipedia.org/wiki/反回神経