経腸栄養法の詳細


◆経腸栄養法とは?

腸を通して栄養等を補給する方法を経腸栄養法といいます。

経腸栄養法には経鼻栄養法、胃瘻栄養法、空腸栄養法があります。

 

経口投与も経腸栄養法になりますが、ここでは管を介して、

栄養や水分などを補給する経管栄養法についてまとめています。

 

 

◆経鼻栄養法とは?

経腸栄養法の一つで、胃の中(又は十二指腸など)まで挿入

した管から栄養剤(流動食など)を注入し、栄養や水分などを

補給する方法です。

片方の鼻腔から管を挿入し投与するため経鼻栄養法と呼ばれています。

 

胃管は、経鼻栄養チューブ、ストマックチューブ、マーゲンゾンデ

経鼻カテーテルなどとも呼ばれています。

 

●経鼻栄養法のメリット

○他の経管栄養法より手技が簡単(看護師も実施できる)

胃瘻や空腸瘻、中心静脈栄養は全て医師が実施。

胃瘻チューブなどの交換は看護師も実施できます。

 

○事故抜去しても重篤な合併症は考えにくい

胃瘻チューブや中心静脈栄養のチューブを事故抜去した場合は

重篤な合併症を引き起こす危険があります。

胃瘻では腹膜炎、中心静脈栄養の場合は出血や感染など。

 

●経鼻栄養法のデメリット

○自己抜去されやすい

○嚥下性肺炎を起こし易い

○カテーテルが汚染されやすい

○外観があまり良くない  

 など。

 

 

◆胃瘻栄養法

●胃瘻栄養法とは?

胃瘻とは、チューブを胃の中に通すための穴のトンネル

(瘻孔・ろうこう)のことです。

腹壁と胃に穴を開けて胃瘻を造設します。

造設した瘻孔に胃瘻チューブを挿入して、栄養や水分等を注入

する方法を胃瘻栄養法といいます。

 

病的に形成される穴もあります。

潰瘍や癌などが横行結腸に癒着して穴があき瘻孔が出来る、

胃結腸瘻がよく知られています。

ここでは、栄養補給を目的とした人工的な瘻孔についてまとめてあります。

 

●胃瘻栄養法のメリット

経鼻栄養法や中心静脈栄養などより良い点を下記に挙げてみました。

 

○事故抜去の危険性が少ない

他の栄養法では、経鼻カテーテル又は点滴チューブが体外に

出ている長さが長いため、邪魔になりやすく、無意識のうちに

自己抜去したり、固定がしっかりしていないと自然に抜ける可能性が高くなります。

 

○管理が簡単

慣れるまでは大変かもしれませんが、管の交換方法は他の栄養法に

比べて簡単です。又、交換までの期間が長いため患者さんへの負担が減ります。

 

○外見が気にならない

腹部に造設されるので、衣類などで隠すことが出来るため気になりません。

 

○苦痛が少ない

管を交換するまでの期間が長く、栄養剤などの注入時間が

短いため患者さんの負担がそれだけ少なくなります。

 

○感染や汚染の危険性が低い

胃瘻を造設したはじめは、傷口からの感染の危険がありますが

胃瘻が完成した後は、他の方法と比較するとより低くなります。

 

●胃瘻栄養法のデメリット

経鼻栄養法や中心静脈栄養などと比較してのデメリットを挙げています。

○肉体的にも心理的にも大きな影響がある

腹壁や胃に穴をあけるということは、初めての方にはかなり勇気が

いると思います。

チューブの管理等にもある程度経験が必要なため慣れない時期は

本人も家族も心理的な不安が強いのではないかと思います。

異常の早期発見が出来るかどうか、出来たとしても適切な対処

が出来るかどうか。

例えばチューブが抜けたりした場合の早期発見や対処など。

 

○挿入部位の炎症や出血などの合併症を伴うリスクがある

胃瘻挿入部位から消化液や栄養剤などの胃の内容物がもれた

場合は、挿入部位周辺の皮膚に炎症を引き起こす危険があります。

又、チューブの固定板の圧迫に伴う炎症もあります。

 

○腹膜炎の危険がある

胃瘻が完成していない初期の段階ではリスクが高くなります。

胃瘻が完成した後も、胃瘻カテーテルの交換時に瘻孔を

損傷した場合は腹膜炎のリスクが高くなります。

 

 

◆空腸栄養法

胃瘻や経鼻からの栄養チューブの先端を空腸に留置するか

空腸の上部に穴を開けて空腸上部に空腸瘻を造設して

栄養や水分を補給する方法です。

 

*空腸は十二指腸に続く小腸の一部になります。

 



◇参考文献

書籍

「わかりやすい病態生理」小学館

「最新医学大辞典」医歯薬出版株式会社

「PEG(胃瘻)改訂版適切な栄養管理を行うために」フジメディカル出版

「医学大辞典」

「家庭医学大百科」

「広辞苑」

 

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