褥瘡予防


褥瘡を予防する為には

圧迫などの軽減・除去や栄養

状態を整える、皮膚の清潔

血行を良くする等があります。

 

◆圧迫などの軽減・除去

同じ箇所に長時間圧力がかから

ない様にする為には体位を変えることが必要です。 

 

●体位交換の方法

*寝たきりの方の体位交換の方法をまとめています。

 

夜間

2時間毎の体位交換:例

右(左)横向き⇒仰向け

⇒左(右)横向き

⇒仰向け 

状態によっては横向きにする角度

を変えてみたり、間隔をもっと

短くしてなるべく回数を多くします。

 

昼間

座位が可能であれば体を起こす

起こすときは必ず両膝も曲げて

ずれないようにします。

寝ている時よりもお尻に体重が

かかるので角度は30度までで

時間は30分ほどで元に戻す。

2時間おきの体位交換。                    

★体を動かす時は必ず体を浮かしてから移動します。

引きずらないようにすることが大切です。

★シーツや寝巻きにシワを作らないように注意します。

 

●圧力を軽減する方法

クッション、枕、マットなどを

利用して、圧力を分散します。

圧力を分散する寝具類には

エアーマット、ウォーターマット

体圧分散マットレス、ムートン製

のシーツ、抱き枕 などあります。

床ずれ防止用の寝具類がいろいろ販売されています。

 

エアーマットなどを利用すると

体位変換の間隔を長くすることも

出来るので、介護者の負担も軽く

なりますがエアーを入れすぎると

逆果になることもあります。

体が底につかない程度にエアーを調節します。

 

安易な円座の使用はかえって血行

障害を引き起こしたり動きが制限

されたり皮膚の摩擦を引き起こし

たりすることもありますので注意が必要です。

 

介護用品を利用する場合はお近く

の市役所や在宅介護支援センター

などで情報を提供してもらえると思います。

介護保険で介護サービスを受けて

いる方はレンタルできる介護用

品もあります。まずは、担当の

ケアマネジャーなどにご相談ください。

 

 

◆栄養状態を整える

*高齢の方の食事の摂り方をまとめています。

 

栄養状態を良好に保つには、

ただお腹に入れば良いという

ものではなく、消化・吸収を

良くすることも大事です。

 

●消化・吸収を考慮した食事の工夫

唾液や消化液などの分泌量が

減少してくる為、消化・吸収を

考慮した食事が必要です。

 

対策

消化・吸収を良くするには、

食物の形態が大切です。

細かく切る、やわらかく煮る

魚は身をほぐしたり、すり身に

する、肉はひき肉にするなど。

 

◎その時の個人の状態に合わせて食物の形態を変えてみましょう

流動食 

重湯、ジュース、牛乳、スープ

など固形物がないもの。 

 

軟食

お粥(三分・五分・七分・全粥

など)、歯茎でつぶせる煮物、

豆腐、軟らかく茹でた野菜等。

 

ミキサー食

軟食をミキサーにかけたもの。

 

刻み食

固形食を食べやすい形に刻んだもの。

 

とろみ食

片栗粉やくず粉などでとろみを

つけたり、ゼラチンや寒天などにする。

 

 

●むせない様に注意する

物を飲み込む反射が低下して

きている為、むせない様に注意します。

 

対策:例

ゼラチン状の食べ物や片栗粉等

でとろみをつけるなど。

 

*注意

水物はむせやすいので注意する。

参照

誤嚥について(当サイト内)

 

 

●塩分の取りすぎに注意!

味覚がやや鈍ってくるので濃い

味付けになりがちです。

 

対策:例

レモン・酢・ゆずなどの酸味を利用する。

かつお節、シイタケ、昆布等の

自然のだしを利用する。

 

 

●脂質、蛋白質、鉄、カルシウム、食物繊維などが不足しやすい

対策:例

各栄養素の吸収率を良くする為

に魚・卵・乳製品・大豆類

イモ類・海藻類などをなるべく

一緒にとるようにする。

新鮮な物、旬なものを選ぶ。

1日30品目を目標に!が推奨されています。

 

 

●市販の物を利用

栄養の管理は介護する人にとっ

ては負担がかかる場合も多い為

高齢者用のバランスのとれた

市販の流動食や介護食等を利用

されるのもいいと思います。

 

★食事をする雰囲気も大切です。

消化吸収を良くする一助となる

のが「楽しく食べる」 ことです。

その為にはまずは本人の好きな

食べ物を選ぶことも必要です。

食べたい時に食べたいものを

少量ずつ数回に分けて摂るのも一つの方法です。

 

 

◆皮膚の清潔

●観察

尿や便失禁がある方はこまめに

観察することが必要です。

特に利尿剤や下剤等を服用した

時は注意します。

食後や運動後(リハビリなど)

も排便している可能性が高いです。

汗をかいた後も観察が必要です。

 

●皮膚の清拭

なるべく擦らない様にかるく

押えるようにして拭きます。

付着物がある場合はティッシュ

などで軽く取り除きます。

少し熱めのお湯で軽く絞った

タオルなどで拭きます。

市販の使い捨ての清拭タオル等

を利用されてもいいと思います。

汚れが取れない場合は、無理に

とらずに微温湯で洗い流します。 

使い捨ての注射器があれば処置も

しやすいですが、なければ台所の

使い終わった洗剤の容器や霧吹き

などを活用して洗い流してもいいと思います。

可能であれば、坐浴が理想。

きれいにした後は、乾いた清潔な

ガーゼタオルなどで軽く押えて

水分をとり、乾燥させます。

皮膚に異常(発赤や傷等が)が

ないか調べた後に新しいオムツをします。

寝たきりの方の場合は、テープ式

オムツやフラット式オムツを利用

している場合が多いと思います。

フラット式だけの使用の場合はおむつカバーもします。

又テープ式の上からさらにおむつ

カバーするケースもあります。

その時の状態でオムツのあて方も

違いますが、要はきつくしめないことです。

又時々緩めたりすることも必要です。

 

 

◆血行を良くする

●好発部位やその周辺を温める

 ・やや熱めのお湯で絞ったタオルなどを軽くあてて温める。

・日光に当てる。

・赤外線をあてる など。

 

●入浴、シャワー浴、足浴など

全身浴や半身浴などで体全体を

温め、血行を促進させます。 

 

入浴が出来ない場合は足浴、

手浴、座浴などの部分浴で血行を良くします。

 

体力が消耗したり、入浴が嫌な

場合はシャワーを浴びるだけ

でも血行を促進して気分も良くなります。

入浴よりは温まりませんがシャ

ワーの水圧の効果で血行がよくなります。

 

★摩擦や筋肉のずれなどが床ずれ

の原因にもなるため、マッサージは避けます。

 

続きはこちらです⇒ 昔と今と違うところは?

 


褥瘡 項目一覧

褥瘡(床ずれ)の概要

皮膚に流れている血管は細い為

圧迫されると皮膚の組織(表皮

真皮、皮下組織)に酸素や

栄養などが回らなくなります。

続きは こちら です。

 

褥瘡が出来やすい部位(好発部位)

一般的には、骨が突き出ている

部位が好発部位です。

骨の突き出ている部分は、皮下

組織や筋肉などが少ないことと

突き出ている部分に集中して圧力がかかるためです。

続きは こちら です。

 

褥瘡予防

褥瘡を予防する為には

圧迫などの軽減・除去や栄養

状態を整える、皮膚の清潔

血行を良くする等があります。

続きは こちら です。

 

昔と今と違うところは?

円座の使用とマッサージ

以前は仙骨部などの褥創予防や

悪化防止に円座は必須アイテムでした。

続きは こちら です。

 


◇参考文献

書籍

最新医学大辞典(医歯薬出版株式会社)

 

インターネット

日本褥瘡学会

http://www.jspu.org/

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』