◆挿入(穿刺)部位
挿入(穿刺)部位は鎖骨下、頸部、鼠径部(太腿の付け根)
上肢などいくつかの経路がありますが、栄養補給の目的で
挿入する場合は比較的多いのが、鎖骨下や頸部になります。
栄養補給が長期間続く場合は、鎖骨下の方が適しています。
他の部位に比べ、感染や血栓のリスクが低く、固定がしやいためです。
その為、状態が安定している在宅や施設で療養されている方の
場合は、鎖骨下からの挿入が多いと思います。
左右どちらからでも挿入は可能ですが施術者が右利きの場合は
右側からの穿刺のほうがやりやすいようです。
穿刺時のリスクの面から考えると、頸部からの挿入の方が鎖骨下
よりは安全で容易とされています。
手術や急性期、状態が不安定な場合は頸部からの挿入が多いようです。
最近では肘静脈などの末梢から挿入するケースも多くなってきて
いるようです。この場合はカテーテル挿入時の合併症がほとんど
発生しないようです。
◆中心静脈カテーテル留置及び輸液ルートによる主な合併症
●血栓症、塞栓症
血液がルート内に逆流すると血栓が生じやすくなります。
●菌血症、敗血症
感染経路には中心静脈カテーテル、輸液チューブ、フィルター
三方活栓などからの側注、輸液剤などがあります。
●カテーテルの事故抜去(自己抜去も含む)による出血や離断
カテーテルが千切れたりした場合は、先端が心臓内等に残って
いる場合もある為、注意が必要です。
カテーテル挿入(穿刺)時の主な合併症には気胸や空気塞栓、
動脈損傷などがあります。
血栓と塞栓について
血栓は血の塊り。
塞栓は血栓等の塊が血管を塞ぎ血液の流れが遮断されること
塞栓を引き起こす塊りには血栓、脂肪組織、空気、腫瘍など
があります。
菌血症と敗血症の違い
菌血症とは菌が血液中に存在して全身を循環している状態。
血液中で菌が増殖し症状を伴った場合は、敗血症。
中心静脈にカテーテルを留置する目的
中心静脈にカテーテルを留置する目的は、栄養補給以外にも
確実な血管確保、治療(薬剤の投与)、検査(静脈圧の測定)
などの目的でも挿入されます。
中心静脈カテーテルの主な挿入部位
中心静脈カテーテルの主な挿入部位は、鎖骨の場合は鎖骨下
静脈、頸部の場合は内頸静脈、外頸静脈、上肢の場合は
上腕尺側皮静脈、下肢(そけい部)の場合は大腿静脈など。
中心静脈カテーテルの留置部位
鼠径部から挿入した場合は下大静脈に、鎖骨下や頸部、上肢
から挿入した場合は上大静脈に留置。
中心静脈栄養法を意味する英語
TPN (Total Parenteral Nutrition )
完全静脈栄養法といいます。
続きはこちらです→ 中心静脈栄養法のメリットとデメリット
◇参考文献
書籍
「ナース必携最新基本手技AtoZ」保存版 p107 p172 p173
発行・照林社 発売・小学館
「全科術前・術後マニュアル」 p72
発行・照林社 発売・小学館
「最新医学大辞典」医歯薬出版株式会社
「家庭医学大百科」主婦の友社
インターネット
静脈経腸栄養ガイドラインPDF
http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/PEN/Parenteral_and_Enteral_Nutrition.pdf
ウィキーペディアHP内
//ja.wikipedia.org/wiki/菌血症
//ja.wikipedia.org/wiki/血栓
//ja.wikipedia.org/wiki/塞栓
ウィキーペディアHP内
ja.wikipedia.org/wiki/高カロリー輸液
ja.wikipedia.org/wiki/下大静脈
ja.wikipedia.org/wiki/大静脈
経静脈栄養法(ニュートリーHP内)
//www.nutri.co.jp/dic/ch7-2/
IVH(看護関連用語集のページHP内)
https://www.nursenohome.com/%E6%AC%A7%E6%96%87/%EF%BD%89%EF%BD%96%EF%BD%88/