経管栄養法のケアをするにあたり必要な知識として病態生理等
も大切ですが、その他にも取り扱う物品の知識も必要になります。
とりわけ胃管に関しては材質や長さ、太さなどを把握して
おくことが大切です。
◆経鼻胃管
●経鼻胃管の種類
胃管の使用目的は大きく別けて、検査と治療そして栄養補給になります。
ここでは栄養補給に関する胃管について簡単にまとめてみました。
鼻から挿入する胃管はいくつか呼び方があります。
経鼻栄養チューブ、ストマックチューブ(英語)
マーゲンゾンデ(ドイツ語)、経鼻カテーテル、栄養チューブ
NGチューブ(経鼻胃管)、ガストロチューブ(GT) など
他にも様々な呼び方があります。
栄養補給の為の管は、長時間胃内に留置していても変質し難い
素材が選択されます。
ポリ塩化ビニル(または塩化ビニル樹脂)、シリコンゴム、
ポリウレタン製のものがあります。
機能的には、スタイレット付きのチューブ、レントゲンでの
透視が可能なチューブ、目盛付きのチューブなどがあります。
●経鼻胃管の太さ、長さ
太さを表す単位は「フレンチ」と呼ばれ、Fr、F、FR、fr
と表示されています。
外径が1mmのサイズは3Frになります。
1Frは1/3 mm
数字が大きくなるほど太くなります。
使用されている範囲の例としては3Fr~18Fr
成人の場合は6Fr~10Frのサイズが多く使用されているようです。
長さの範囲の例としては30cm~120cmまでのサイズがあります。
実際に管を挿入する長さの目安としては成人の場合は、
45cm ~ 55cmです。
外に出ている分も含めた管の長さの目安としては、
55cm~75cm迄のサイズが多く使用されているようです。
◆胃瘻カテーテル
●胃瘻カテーテルの種類
胃瘻カテーテルも胃管の一つです。
腹壁から直接胃内に管を挿入する為、鼻からの胃管よりも短くなります。
又、鼻腔などを通過しない為より太い管が挿入できます。
胃瘻チューブは抜けないように胃内固定板と体外固定板で
しっかり止めています。
胃内固定板の種類にはバルーン型とバンパー型があります。
体外固定板にはボタン型とチューブ型があります。
それぞれ長所と短所がある為、個人にあった種類を担当医師と
相談しながら決めることになります。
●胃瘻カテーテルの構造
カテーテル本体に2箇所の固定板と栄養管の接続部があります。
胃瘻カテーテルの胃内の方には胃内固定板、体表面の方には
体外固定板があります。
それぞれ2種類の固定板があります。
胃内固定板にはバルーン型とバンパー型があります。
体外固定板には、ボタン型とチューブ型があります。
上記の組み合わせ(4種類)の中から選択されます。
●胃内固定板について
○胃内固定板の役割
胃内に固定されており、
胃瘻チューブが体外へ抜けないようにしています。
バルーン(風船)型とバンパー型があります。
▽バルーン(風船)型
長所
交換が簡単
交換時の痛みや損傷が少ない
短所
バルーンが破裂するときがある。
▽バンパー型
長所
抜けにくい
長期間挿入できる
短所
痛みや圧迫感を感じやすい
バルーン型以外の胃内固定板がバンパー型になります。
形は各種あります。
●体外固定板について
○体外固定板の役割
体の表面で固定されており胃腸の蠕動運動で管が胃腸内に
移動しないように(入り込まないように)しています。
ボタン型とチューブ型があります。
▽ボタン型
長所
邪魔にならないので、事故抜去の危険性が低い。
短いのでチューブ内の汚染が少ない。
逆流防止の為の弁が付いている。
短所
ボタンを開閉しづらい時がある。
▽チューブ型
長所
栄養チューブとの接続が容易。
短所
邪魔になりやすいので、事故抜去の危険が高い。
チューブ内が汚染されやすい。
●胃瘻チューブ(カテーテル、管)の選択
胃内固定板と体外固定板の組み合わせの中から選択されます。
▽選択の4種類
バンパー型ボタンタイプ
バンパー型チューブタイプ
バルーン型ボタンタイプ
バルーン型チューブタイプ
長さや太さ、材質も様々あります。
メーカーも数社あります。
個人にあった種類を担当医師等と相談しながら決めることになります。
◇参考文献
書籍
胃瘻PEG合併症の看護と固形化栄養の実践 日総研 p23-p28
PEG(胃瘻)栄養 適切な栄養管理を行うために p59-p61 p186-p191
ナース必携最新基本手技AtoZ EXPERT・NURSE
最新医学大辞典(医歯薬出版株式会社)
インターネット
ウィキーペディアHP内
ja.wikipedia.org/wiki/ポリ塩化ビニル
ja.wikipedia.org/wiki/ポリウタレン
ja.wikipedia.org/wiki/シリコーン