◆咳とは?
気管や気管支、肺などに溜まっ
た痰や誤嚥等による異物を体外
へ出そうとする体の防御反応の一つです。
医学用語では「咳嗽(ガイソウ)」といいます。
◆咳の原因
●病的な咳
細菌やウィルスなどによる感染
後鼻漏、胃食道逆液、結核、
肺がん、肺腫瘍、アレルギー、
咳喘息、気管支喘息、気管支炎
気管支拡張症、間質性肺炎、
心不全、肺水腫、気胸、胸膜炎など様々。
●病的でない咳(生理的な咳)
・気温の変化に伴う咳
冷たい空気や湯気を吸い込んだ時などに起こる
・ストレス
・煙、埃など大気の汚染が原因で引き起こされる咳
・誤嚥
・刺激性のあるガスを吸い込んだとき
・強い刺激臭 など
生理的な咳では痰を伴わない空咳
が多く原因が取り除かれればすぐ治まります。
誤嚥の量や種類で生命の危険を伴うこともあります。
有毒なガスを吸い込んだ場合も生命の危険を伴うことがあります。
◆咳の種類
●乾性咳嗽
空咳とも言います。
痰を伴わない咳です。
極少量のさらさらした痰を伴うこともあります。
●湿性咳嗽
痰を伴う湿った感じの咳です。
喀血の時にも出る咳です。
疾患によっては、両方が起こる場合もあります。
空咳の時もあれば、痰を伴うこともあります。
咳の種類は重要な診断の助けになります。
◆心配な咳とは?
・2週間以上続く咳
・発熱を伴う咳
・食欲が無くなってしまう咳
・吐いたり又は吐きそうになる咳が続く場合
・胸痛を伴う咳
・息苦しさを伴う咳
・夜眠れない咳
・血痰を伴う咳
・痰が割と多い咳 など
◆咳を静める方法① 薬物療法(内服薬)
●原因療法
咳の原因が分かればその治療になります。
感染症の場合は病原菌に効果の
ありそうな抗生剤や抗ウィルス剤などが処方されます。
原因となる疾患でそれぞれ薬剤が違ってきます。
●対症療法
症状に対する治療になります。
咳が強く辛い時は、対症療法と
して咳を静める薬が処方されます。
気管支を広げたり痰を軟らかく
して排出を助けるお薬や咳中枢
に直接作用して、咳そのものを
抑制するお薬などが処方されます。
◆咳を静める方法② 吸入
気道の粘膜に潤いを与えること
により痰が軟らかくなり排出を助けます。
直接気道に作用する為、即効性があります。
痰が無くなることで咳も治まります。
空咳の場合は粘膜の保護にもなります。
喘息の場合は、直接気管支に
作用するため、即効性があります。
一般家庭で手軽に利用できる吸入
液としては蒸留水や生理的食塩水などがあります。
生理的食塩水のほうが人体には優しいです。
疾患のある方は病院から処方された吸入薬液を使用します。
吸入に関する詳細は下記をご参照ください。
ネブライザー(吸入器)の使用*当サイト内
◆咳を静める方法③ 環境の改善
●換気
1~2時間おきに5分以上の新鮮
な空気の入れ換えが大切になります。
●湿度の調節
空咳の多い人や寒い時期は高めに設定します。
*目安として60~80%
●室温の調節
20度~25度
*個人差があります。
●静寂
精神的な安静をはかることで、
咳が治まることもあります。
大切なことは、本人が不快に感じ
ない環境が大切になります。
◆息苦しさがある場合
●安静
酸素の消費量をなるべく抑えます。
●酸素吸入
口唇色が悪い場合(いつもより
赤みがない場合)は、酸素濃度
が低下している場合もあります。
●安楽な体位
本人の一番楽な姿勢にします。
半座位やオーバーテーブル等に
うつ伏せになると比較的楽になる方が多いようです。
仰向けに寝るよりも、肺野が広
がり呼吸が楽になります。
咳が長く続くと体力を消耗します。
十分な栄養補給や休養もとても大切になります。
呼吸器の管理ケア 項目一覧
◇参考文献
書籍
「写真でわかる基礎看護技術①看護技術を基礎から理解!」インターメディカ
「一歩先行く呼吸リハビリテーション」(メディカ出版)
「医学大辞典」
「家庭医学大百科」
「広辞苑」
インターネット〉
「フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)」