アラームが鳴った時の対処方法


人工呼吸器の種類によりアラー

トラブルの原因・対処などは多少異なります。

 

◆アラームが鳴った時の対処方法 手順:例

① アラームの確認と消音

アラームの種類を確認すると

同時に患者さんの観察も行います。

アラームの種類が確認できたらアラーム音を消します。

アラームの原因がわかるまではリセットはしません。

 

② 患者さんの観察

バイタルサイン、胸郭の動き

呼吸パターン等の変化を観察。

異常がある場合は、医師に連絡します。

必要に応じてアンビューバッグ

やジャクソンリース回路等で用手的換気を行います。

 

③ 原因のチェックと解決

アラームの原因をチェックし解決します。

《例》

吸気圧上限(気道内圧上限)アラームが鳴った場合。

原因をチェックします。

原因が痰によるものであれば、

吸引を実施して痰を除去します。

 

④ 患者さんの状態を確認

問題解決後、患者さんの状態を

観察し異常がないことを確認します。

 

⑤ リセット

人工呼吸器の設定をもとに戻します。

アラーム音をONにする。

 

⑥ 患者さんの観察

 

 

◆注意すること

◎アラームが鳴った場合は、

 すぐにリセットしない

 

◎安易なアラームの消音は避ける

アラーム音をONにするのを忘れることがある為。

 

 ◎各アラームがONになっているか確認する

 

上記の対処は在宅であれば主に

看護師が実施します。

介護職員等の場合は痰の吸引時

などアラームの原因がはっきり

している場合を除いて患者さん

の状態が悪化したりアラームが

鳴り止まないなどの時はすぐに

医師や看護師などに連絡します。

 

 

◆よくあるアラームの原因と対処方法

在宅で人工呼吸器を装着してい

る方のトラブルで多いのは、

呼吸器回路のはずれやゆるみ

痰などによる気道抵抗の増加

気管カニューレのカフリーク

ファイティング、呼吸回路の

チューブや付属機器の破損

亀裂、センサーチューブに水滴貯留などがあります。

 

●呼吸器回路のはずれやゆるみがある場合のアラームの種類と対処

各接続部分のはずれやゆるみが

ある場合は人工呼吸器から送り

だされた空気が外に漏れるため

気道内圧は低下します。

吸気圧下限(気道内圧下限、回路

内圧下限、低気道内圧)アラームが鳴ります。

 

ウォータートラップ、加温

加湿器チャンバーのキャップ

Yピースなどの接続部分をチェ

ックし、ゆるみやはずれがある

場合はしっかりと接続します。

 

●痰などによる気道抵抗の増加がある場合のアラームの種類と対処

痰などが気道に貯留している

場合は気道内圧が上昇します。

吸気圧上限(気道内圧上限、回路

内圧上限、高気道内圧)アラームが鳴ります。

 

原因となっている分泌物を吸引し除去します。

 

●気管カニューレのカフリークがある場合のアラームの種類と対処

カフ内の空気が漏れている場合

はカニューレと気管の隙間が大

きくなり十分な換気ができなくなります。

呼吸器から送り出されたガス

(空気)が隙間から体外へ漏れ

てしまうため気道内圧は低下します。

吸気圧下限(気道内圧下限、回路

内圧下限、低気道内圧)アラームが鳴ります。

 

適正なカフ圧に調整します。

破損している場合は気管カニューレを交換します。

 

●呼吸回路のチューブや付属機器の破損・亀裂がある場合のアラームの種類と対処

チューブや付属機器に破損や

亀裂がある場合はガス(空気)

が外へ漏れやすくなり気道内圧は低下します。

吸気圧下限(気道内圧下限、回路

内圧下限、低気道内圧)アラームが鳴ります。

 

チューブやウォータートラップ

Yピース、呼気弁等のチェック

を行い、破損や亀裂がある場合は交換します。

 

●ファイティングがある場合のアラームの種類と対処

咳や興奮、呼吸器の設定のミス

マッチ等で人工呼吸器と対象者

の呼吸が合わない時は気道内圧が上昇します。

吸気圧上限(気道内圧上限、回路

内圧上限、高気道内圧)アラームが鳴ります。

 

咳の原因を除去します。

咳の原因には痰や血液等の貯留

やカニューレの刺激、唾液の流入などがあります。

原因をチェックし吸引等を行います。

興奮している場合は、鎮静薬などで鎮静します。

 

●センサーチューブ(気道内圧チューブ)に水滴貯留

フローセンサーチューブや気道

内圧モニター用チューブに水滴

が溜まると、センサーが正常に

機能しないリスクが高くなります。

水分でセンサーチューブが閉塞

すると、吸気圧下限アラームや

吸気圧上限アラーム等の誤作動の恐れがあります。

又、圧式の換気モードの場合は

適正な換気が維持されない恐れがあります。

 

水滴が混入しないようにセンサ

ーチューブの差込口を常に上にして設置します。

センサーチューブのコネクタ

部分を確認し、ゆるみがない様にします。   

水滴が混入したら、速やかに抜きます。

 

上記以外にも、様々なトラブルがあります。

特に加温加湿器に関するヒヤリ・ハット事例等が多いようです。

 

上記の対処は在宅であれば主に看護師が実施します。

介護職員等の場合は痰の吸引時

などアラームの原因がはっきり

している場合を除いて患者さん

の状態が悪化したりアラーム

鳴り止まないなどの時はすぐに

医師や看護師などに連絡します。

 

人工呼吸器の種類によりアラー

ム・トラブルの原因・対処等は多少異なります。

 

加温加湿器に関するヒヤリ・ハット事例など

加温加湿器内に給水する時に、

給水用ポートを使用せず、ガス

ポート(呼吸回路のチューブを

接続する部分)から給水しその後

回路のチューブを再接続する

のを忘れた事例が報告されています。

その他にも繰り返し報告されて

いる事例ではヒーターワイヤの

外れ、温度プローブの外れ、

給水忘れ、電源の入れ忘れなどがあります。

 

気道内圧チューブ(気道内圧モニター用チューブ)について

人工呼吸器の種類によっては、

気道内圧チューブを有している機種もあります。

気道内圧チューブを利用して

呼吸回路内の圧力を呼吸器本体

に導いて、気道内圧として測定する役割があります。

続きはこちらです→ 人工呼吸器使用前のチェック方法

 




人工呼吸器装着時の介護 項目一覧


◇参考文献 

インターネット

医薬品医療機器情報提供ホームページ

人工呼吸器の取扱い時の注意について(その1)

http://www.pmda.go.jp/files/000143605.pdf

人工呼吸器の取扱い時の注意について(その2)

http://www.pmda.go.jp/files/000145062.pdf

人工呼吸器の取扱い時の注意について(その3)

http://www.pmda.go.jp/files/000144615.pdf

人工呼吸の安全セミナーテキスト p7~p8

http://www.pmda.go.jp/files/000144877.pdf#page=2

 

厚生労働省HP内

人工呼吸器呼吸回路における気道内圧モニター用チューブに係る添付文書の自主点検等について

www.mhlw.go.jp/shingi/2009/12/dl/s1225-15a.pdf

喀痰吸引等を必要とする重度障害児・者等の障害及び支援に関する講義

緊急時の対応及び危険防止に関する講義 p36~p40

//www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_

kaigo/shougaishahukushi/kaigosyokuin/dl/text_02.pdf

 

書籍

「介護職員等のための医療的ケア 喀痰吸引・経管栄養等の研修テキスト」

 公益財団法人日本訪問看護財団(編)p71

「人工呼吸ケアのすべてがわかる本」照林社 p34p36

「器械的人工呼吸マニュアル」ナース専科 文化放送ブレーン p36~p41

「気管吸引のガイドライン完全準拠わかる!できる!気管吸引あんしん教育ガイド」

 MCメディカ出版 p76~p78

「はじめて人工呼吸器」メディカ出版 p57~p61 

「実践できる在宅看護 技術ガイド」学研 p130~p132

「写真でわかる臨床看護技術2呼吸・循環、創傷ケアに関する看護技術を中心に!」

 インターメディカ p83