◆改定事項
① CHASE・VISIT情報の収集・活用とPDCAサイクルの推進
② リハビリテーションマネジメント加算の見直し
③ リハビリテーションマネジメント等の見直し
④ ADL維持等加算の見直し
⑤ 介護老人保健施設における在宅復帰・在宅療養支援機能の評価の充実
。◆目的
介護サービスの質の評価と科学的介護の取組を推進し介護サー
ビスの質の向上を図る為。
◆改定内容
●科学的介護推進体制加算を新設
PDCAサイクルの推進・ケアの質の向上の取組を評価する加算を創設
〇科学的介護推進体制加算(Ⅰ) 40単位/月(新設)
*対象サービス
施設系サービス(介護療養型医療施設は除く)
介護老人福祉施設
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
介護老人保健施設
介護医療院
〇科学的介護推進体制加算 40単位/月(新設)
*対象サービス
通所系サービス(療養通所介護は除く)
通所介護
地域密着型通所介護
通所リハビリテーション
認知症対応型通所介護
介護予防通所リハビリテーション
介護予防認知症対応型通所介護
居住系サービス
特定施設入居者生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
介護予防特定施設入居者生活介護
介護予防認知症対応型共同生活介護
多機能系サービス
小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
介護予防小規模多機能型居宅介護
●さらなる評価を加算
〇科学的介護推進体制加算(Ⅱ) 60単位/月(新設)
精度の高いフィードバックを受けることが出来る項目を提出し
活用した場合はさらなる評価を加算。
*対象サービス
施設系サービス(介護療養型医療施設は除く)
介護老人福祉施設*
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護*
介護老人保健施設
介護医療院
*介護老人福祉施設と地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
は服薬情報の提供を求めない為
50単位/月
●算定要件等
〇科学的介護推進体制加算の要件等
入所者・利用者ごとのADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の
状況その他の利用者の心身の状況等に係る基本的な情報を厚生
労働省に提出し、サービス提供時には必要な情報を活用していること。
(CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)
〇科学的介護推進体制加算(Ⅱ)の要件等
上記の要件に加え、疾病の状況や服薬情報等の情報を厚生労働省に提出。
*介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設については
服薬情報の提出を求めない
◆目的
自立支援・重度化防止に向けた取組を一層推進する為。
◆改定内容
●ADL維持等加算の対象サービスを追加
〇対象サービス
認知症対応型通所介護
特定施設入居者生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
介護老人福祉施設
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
通所介護と地域密着型通所介護は既に対象になっていますが今回の
改定で単位数が変更されました。
改定前の単位数
ADL維持等加算(Ⅰ) 3単位/月
ADL維持等加算(Ⅱ) 6単位/月
●ADLを良好に維持・改善する事業者を高く評価する
より自立支援等に効果的な取り組みを行った事業者に対し、
新たな評価として単位数が拡充されました。
ADL維持等加算(Ⅰ) 30単位/月 (拡充)
ADL維持等加算(Ⅱ) 60単位/月 (拡充)
*(Ⅰ)(Ⅱ)は併算定不可
〇対象サービス
通所介護
地域密着型通所介護
認知症対応型通所介護
特定施設入居者生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
介護老人福祉施設
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
●算定要件等の見直し
クリームスキミングの防止や加算の取得状況と課題を踏まえ
算定要件が見直されました。
〇ADL維持等加算(Ⅰ)の算定要件の概要
・利用期間が6月を超える利用者の総数が10人以上
*改定前
利用時間が設けられており、利用者の総数は20名以上でした。
今回の改定では利用時間の廃止と利用者の総数が緩和されました。
・評価可能な利用者は評価対象利用期間の初月と6月目にADL値
を測定し、原則全員報告する事
*改定前は90%以上の提出率が求められていましたが今回の改定
では原則全員の提出が求められます。
・Barthel Indexを適切に評価できる人がADL値を測定する
・ADL値を測定した日が属する月ごとに厚生労働省に提出していること
(CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)
・ADL利得の変更
ADL利得に初月のADL値や要介護認定の状況等に応じて一定の
値を加えた調整済ADL利得を設定。
調整済ADL利得の上位1割及び下位1割の利用者を除いた残りの
利用者を評価対象にする。
評価対象利用者のADL利得を平均して得た値が、1以上。
*改定前
ADL利得が上位85%に相当する利用者について各々のADL利得を
合計した値が0以上でした。
〇ADL維持等加算(Ⅱ)の算定要件の概要
・利用期間が6月を超える利用者の総数が10人以上
・評価可能な利用者は評価対象利用期間の初月と6月目にADL値
を測定し、原則全員報告する事
・Barthel Indexを適切に評価できる人がADL値を測定する
・ADL値を測定した日が属する月ごとに厚生労働省に提出していること
上記は(Ⅰ)と同じ
・評価対象利用者のADL利得を平均して得た値が、2以上。
*(Ⅰ)と同様に算出した値 (Ⅰ)は1以上
クリームスキミングとは?
収益性の高い利用者(顧客)のみにサービスを集中させる
ビジネスの手法。
サービスを提供する側に都合の良い利用者を選別し
「いいとこ取り」をすること。
介護の分野では要介護度の高い利用者を選別したり、
利用者の状態改善等のアウトカム(結果)の評価が導入されて
いる為サービス提供者がアウトカムの改善が見込まれる高齢者
を選別する等のクリームスキミングが起こる可能性が指摘されています。
ADL利得について
利用開始の月から起算して6月目の測定したADL値から、利用
開始の月に測定したADL値を差し引いた値をADL利得といいます。
差し引いた値が0より大きい利用者は1
0の利用者は0
0未満の利用者はマイナス1
ADL値とは?
機能訓練指導員がADLを評価し、その評価に基づく値。
ADLを評価する方法にはBarthel Index(BI)を使用します。
Barthel Indexとは?
バーセルインデックス(BI)
ADLを評価する為の指標。
食事、車椅子からベッドへの移動、整容、トイレ動作、入浴
歩行、階段昇降、着替え、排便コントロール、排尿コント
ロールの10項目を5点刻みで評価。
合計点は100点満点。
◆目的
在宅への復帰等をさらに推進する為。
◆対象サービス
介護老人保健施設(介護保健施設サービス)
◆改定内容
●在宅復帰・在宅療養支援等指標の見直し
*6月の経過措置期間が設けられています。
〇訪問リハビリテーションの比重を高くする
居宅サービスの実施数が2サービスの中に訪問リハビリテー
ションを含むことが追加されました。
〇リハビリテーション専門職配置割合の指標の変更
理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士の3職種の配置を
評価する為にリハ専門職の配置割合を5以上の中にPT・OT・ST
いずれも配置することが追加されました。
〇リハビリテーションマネジメントの算定要件を追加
医師の詳細な指示に基づくリハビリテーションに関する事項が
明確化されました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
(以下抜粋)
医師はリハビリテーションの実施にあたり、理学療法士、
作業療法士又は言語、聴覚士に対し、リハビリテーションの
目的に加えてリハビリテーション開始前又は実施中の留意事項
中止基準、リハビリテーションにおける入所者に対する負荷量
等のうちいずれか一つ以上の指示を行うこと。
(下記より抜粋)
*厚生労働省サイト内
p30
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000727135.pdf
~~~~~~~~~~~~~~~~~
在宅復帰・在宅療養支援機能加算について
介護老人保健施設において在宅への復帰支援機能を強化する
為に平成24年度に創設された加算項目になります。
(当初は21単位/日)
同時に介護保健施設サービスにおいても在宅復帰率及びベッド
の回転率が高い施設をより評価した基本サービス費が創設されました。
さらにその後の見直しで加算(Ⅰ)34単位/日、加算(Ⅱ)
46単位/日となりました。
(Ⅰ)は介護保健施設サービス費が基本型のうち、さらに
要件を満たした場合に加算されます。
(Ⅱ)は介護保健施設サービス費が在宅強化型のうち、
さらに要件を満たした場合に加算されます。
(Ⅰ)は加算型、(Ⅱ)は超強化型になります。
基本サービスや在宅復帰・在宅療養支援機能加算おける指標
として在宅復帰・在宅療養支援等指標があります。
その指標に基づいて基本サービスの基本型か在宅強化型か
在宅復帰・在宅療養支援機能加算の加算型か超強化型かに分類されます。
在宅復帰・在宅療養支援等指標について
評価項目が10項目あり、それぞれの値を足し合わせた数値が
在宅復帰・在宅療養支援等指標になります。
指標の最高数値は90です。
評価項目は
①在宅復帰率
②ベッド回転率
③入所前後訪問指導割合
④退所前後訪問指導割合
⑤居宅サービスの実施数
⑥リハ専門職の配置割合
⑦支援相談員の配置割合
⑧要介護4又は5の割合
⑨喀痰吸引の実施割合
⑩経管栄養の実施割合
の10項目になります。
それぞれの項目に数値が定められています。
例えば①在宅復帰率の項目では
在宅復帰率が50%を超えれば20
30%超では10、30%以下では0
になります。
在宅復帰・在宅療養支援等指標数値が60以上であれば、
基本サービスの在宅強化型になります。
さらに70以上であれば在宅復帰・在宅療養支援機能加算
(Ⅱ)46単位/日(超強化型)が追加されます。
基本型は20以上(59迄)になります。
基本型のうち40以上(59迄)であれば在宅復帰・在宅療養支援
機能加算(Ⅰ)34単位/日(加算型)が追加されます。
今回の指標項目の見直し箇所
⑤居宅サービスの実施数
居宅サービスを2回実施した場合は指標数値は3で見直し前と
変わりませんが、2回のサービスの中に、訪問リハビリテー
ションが含まれていることが条件になります。
含まれていない場合は、2サービスでも指標数値は1になります。
サービス実施数が0又は1の場合は0になります。
⑥リハ専門職の配置割合
リハ専門職の配置割合が5以上の場合は指標数値は5で見直し前
と変わりませんが、5以上の中に理学療法士、作業療法士及び
言語聴覚士いずれも配置されていることが条件になります。
配置されていない場合は、5以上でも指標数値は3になります。
配置割合が3以上の場合は、指標数値2が追加されました。
続きはこちらです→ (3)寝たきり防止等、重度化防止の取組の推進
◇参考・引用文献
*厚生労働省サイト内
令和3年度介護報酬改定の主な事項について 第199回(R3.1.18)
p28-p30
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000727135.pdf
令和3年度介護報酬改定における改定事項について 第199回(R3.1.18)
p92~p99
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000750362.pdf
p92~p99
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000768899.pdf
自立支援・重度化防止の推進第194回(R2.11.26)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000698871.pdf
自立支援・重度化防止の推進(検討の方向性)第191回(R2.11.5)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000691249.pdf
審議報告案にかかる参考資料 第196回(R2.12.9)
p79~p122
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000703105.pdf
令和3年度介護報酬改定に関する審議報告第 199 回(R3.1.18)
p33~p35
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000721066.pdf
審議報告案にかかる参考資料(令和2年12月9日)第196回(R2.12.9)
p69-p78
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000703105.pdf
*介護報酬の算定構造 介護サービス第199回(R3.1.18)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000728262.pdf
リハビリテーション専門職のチーム医療
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000yq5c-att/2r9852000000yq8k.pdf
*リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する
基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について
https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/000750748.pdf
★PDCAサイクルを実践して生産性を高めよう
p75~p79
https://www.mhlw.go.jp/content/000812225.pdf
介護保険事業(支援)計画の進捗管理の手引き 平成30年7月30日
p9
https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/000340994.pdf
訪問リハビリテーションの報酬・基準について(検討の方向性)第189回(R2.10.22)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000685775.pdf
訪問リハビリテーション
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000679685.pdf
通所リハビリテーションの報酬・基準について(検討の方向性)第188回(R2.10.15)
p4
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000683012.pdf
健康指標の意義と算出方法
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/s1.html
総合事業における効果的な IADL 改善プログラム実践マニュアル
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/44_shutodaigaku.pdf
*令和3年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000721324.pdf
通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護の報酬・基準について(検討の方向性)
p23-p25
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000683014.pdf
特定施設入居者生活介護の報酬・基準について
p13
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000694873.pdf
特定施設入居者生活介護
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000648154.pdf
○指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準
10 特定施設入居者生活介護費
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc_keyword?dataId=82aa0253&dataType=
0&keyword=%E6%8C%87%E5%AE%9A%E5%B1%85%E5%AE%85%E3%82%B5%E3%83%BC%E
3%83%93%E3%82%B9%E3%81%AB%E8%A6%81%E3%81%99%E3%82%8B%E8%B2%BB%E7%94
%A8%E3%81%AE%E9%A1%8D%E3%81%AE%E7%AE%97%E5%AE%9A%E3%81%AB%E9%96%A2%
E3%81%99%E3%82%8B%E5%9F%BA%E6%BA%96&mode=0&pageNo=4
指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82aa7862&dataType=0&pageNo=2
リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する
基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について
p36 p40
https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/000750748.pdf
「栄養改善マニュアル」の概要
https://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-1e.pdf
指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪
p69~p71
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000080856.pdf
令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)(令和3年3月23日)Vol.948
リハビリテーションマネジメント加算
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000759529.pdf
令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)(令和3年3月26日)Vol.952
個別機能訓練加算
p29~p43
https://www.mhlw.go.jp/content/000763822.pdf
令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)(令和3年3月29日)Vol.953
生活機能向上連携加算
p3
https://www.mhlw.go.jp/content/000764689.pdf
介護サービスにおける機能訓練の状況等に係る調査研究事業(結果概要)(案)
p23,p24
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000613243.pdf
令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.8)(令和3年4月26 日)Vol.974
入浴介助加算
https://www.mhlw.go.jp/content/000773560.pdf
*介護サービス関係 Q&A集(常勤換算方式)
https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/qa/dl/qa-2014.pdf
従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表(常勤換算方式)
https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000754443.pdf
掲載日2021年12月22日